青森・岩手・宮城・福島にまたがる700キロの長距離遊歩道「みちのく潮風トレイル」 

トレイルを歩いて東北の自然に触れる <健康+レジャーで地球環境問題を考える

震災の被害を受けた東北地方太平洋沿岸地域の復興を目指し、環境省が進める青森県八戸市と福島県相馬市を結ぶトレイルコース(長距離自然歩道)「みちのく潮風トレイル」の一部(青森県八戸市~岩手県久慈市間/100キロ、昨年11月に開通)において、7月から踏破認定制度が始まり本格的に利用促進を図る。これらの取組みを広報するため、6月21、22日に東京・六本木ヒルズでイベントが行われる。

東北4県にわたり整備が進められる総距離700キロに及ぶみちのく潮風トレイル。
東北4県にわたり設定が進められる総距離700キロに及ぶみちのく潮風トレイル。

東北の復興を目指し整備

東日本大震災で漁業や自然公園も大きな被害を受けた東北地方太平洋沿岸地域の復興を目指し、環境省は「三陸復興国立公園」の創設を核にするグリーン復興ビジョンを策定。青森・岩手・宮城・福島の4県31市町村にまたがる青森県八戸市蕪島から福島県相馬市松川浦の間を結ぶ、総距離700キロの長距離自然歩道「みちのく潮風トレイル」の設定を進めている。トレイルとは森林、原野、里山、海岸などを通る「歩くための道」のこと。欧米には総距離数千キロに及ぶロングトレイルがあり、「歩く旅」を楽しむ愛好家らは世界に広がっているという。ゆっくり歩きながら、自然や景勝地、集落などの風景を見たり、歴史、風俗、食文化などに触れられる点が人気を集めている。

トレイルを歩きながら、東北の海岸線をはじめ、美しい景色が望める。
トレイルを歩きながら、東北の海岸線をはじめ、美しい風景が臨める。

地元の人たちも協力

「みちのく潮風トレイル」は、利用者と地域の人々などを「結ぶ道」がコンセプト。地域の宝を活かした自然を深く楽しむ旅、里山・里海を利用したフィールドミュージアムなどの要素を取り入れ、東北の暮らし、町並み、史跡、寺社仏閣、津波の痕跡をはじめ、里山、里海、棚田、現地の歴史や文化について学んだり、体験できるスポットを盛り込む他、関係自治体や地元活動団体、商店や地元企業と協力して特色あるコースを作ったり、ワークショップや体験学習なども取り入れる。参加者はコースを歩きながら、地域の文化などに触れられるのが魅力だ。

青森県八戸市~久慈市間が開通

昨年11月に開通したのが青森県八戸市~岩手県久慈市間の100キロで、7月からは踏破認定のための記念スタンプなどがチェックポイントに設置され、区間内でトレイルが一層楽しめるようになる。見どころは2013年に日本ジオパークに認定された三陸ジオパークをはじめ、天然の芝生地が海際まで広がる種差天然芝生地(八戸市)、高台から眺める海岸線の景観が美しいトレッキングコース(階上町)、南部潜りやウニが特産の漁業の町(洋野町)、あまちゃんのロケ地になった小袖海岸(久慈市)などがある。

写真は洋野町で長く伝わる伝統潜水方法「南部潜り」。各地の文化に触れられるのもトレイルの魅力。
写真は洋野町で長く伝わる伝統潜水方法「南部潜り」。各地の文化に触れられるのもトレイルの魅力。

6月21、22日、東京・六本木で広報イベント

4月に全線で運転を再開した三陸鉄道を利用して日帰りや一泊の旅行を組んだり、トレイルをセットにした三陸の旅などを提案し既存のコースについてはさらなる充実を図っていくことなども期待されるほか、順次、残りの区間についても設定を進めていく。6月21、22日、東京の六本木ヒルズで、みちのく潮風トレイルフェスティバルが開かれ、間寛平さんのトークショー、ミニライブ、トレイルの映像体験、東北グルメ&物産展、ワークショップなどが行われる。

<自然の中を歩きながら、地球環境問題を考える>

「歩くことは健康に良い」とよく言われるが、特に欧米には多くのトレイルコースがあるそうで、自然の下でウォーキングを楽しむ人が多いそうだ。手軽にでき、健康にもいい。また、自然に触れることで、自然の大事さ、地球環境問題にも関心が高まるのではないか。日本でもトレイルがもっと広まっていけばいい。(ライター 橋本滋)