脱原発は世界の流れ。再生可能エネルギー普及に政治がリーダーシップを発揮すべきとき

国内は原発再稼働か、脱原発かの議論で揺れている。福島の原発事故以降、国内で急速に高まった原発の議論だが、2011年当時、原発新設の計画を進めていたのは世界では中国、インド、イラン、そして日本など少数だった。今も原発を新設しようとしている国は新興国や発展途上国が中心だ。

アメリカですら1979年、レベル5のスリーマイル島原子力発電所事故以来、地域住民から反対の声が強く、原発新設には慎重だった。そして、1986年、旧ソ連でチェルノブイリ事故が起き、周辺諸国の原発に対する意識が大きく変わった。その中で、原発新設を進めようとしていた日本は例外的な存在であった。

ドイツは2002年、事故が起きたときのリスクが高いことに加え、放射性廃棄物を次世代に残すことへの解決策が見いだせない等の理由により、脱原発を決定。国内に17基あった原発を2022年までに全廃し、替わりに再生可能エネルギーの割合を35%まで高める計画だ。発送電分離が行われ、風力発電、バイオマス発電など電気を作る会社がいくつも生まれた。そして、人々は自分が使う電気を自分の意思で自由に買えるようになった。

一方、日本の電力会社には競争がなく、全国、広域のエリアに分け、各地域では事実上1社が独占してきた。当たり前のようにこの状況が続いていたが、福島の事故を契機に東京電力は国有化され、2015年からは国内でも発送電分離の改革が始まる見通しだ。

しかし、こうした中で朝日新聞は2月27日、原発再稼働に意欲を示す現職の経済再生担当相のパーティー券を、電力9社が覆面購入していることを報じた。法律に定められた範囲内と言え、現役閣僚、しかも電力行政に大きな影響力を持つ大臣に対し、電力会社、関係する個人が政治資金の源泉ともなるパーティー券を応分負担して購入することは、抜け道を利用し便宜を図っていると言われても仕方がない。

「特定団体に利益を誘導すること」。それが政治、官僚を動かすモチベーションとなっているのならば、真の意味で求められる発送電分離、再送可能エネルギーへのシフトは進まない。

世界では多くの国が再生可能エネルギーに力を入れ、新技術や廃炉ビジネスなど新しい産業が生まれ、雇用を生み出している。再生可能エネルギーを取り巻くビジネスは大きな可能性を秘めており、日本が存在感を発揮できる分野だ。日本に世界をリードするビジネスを育てるため、政治家は今こそ力を発揮すべきときだ。