小さな農で、自給自足と天職を追求
今、広がる「半農半Ⅹ」という生き方


半農半X研究所代表 塩見直紀さん

半分農業をしながら、半分を天職の追求に費やす生き方を選択する人が増えている。自給自足による農業で日々の糧を確保しながら、自分のやりたいこと「X」を実現する「半農半X」と呼ぶライフスタイルである。挑戦する世代は若者から中高年まで幅広く、環境時代にもマッチして静かなブームを呼んでいる。




最低限必要な食料を自給自足で賄い、残りの時間を自分のやりたいことにあてるというライフスタイル・半農半Xのコンセプトは、多数の関連著書を持つ塩見直紀さんによって生まれた。

今も全国各地で開かれる同氏の講演会には、20代~30代の若い世代が熱心に耳を傾ける。新聞などメディアに取り上げられたのを機に広がり、各地で「半農半X」に取り組む人が増えている。

「環境問題に関心があったが、これなら自分も何かできそうだと思った」「自給自足に憧れていた」「田舎で暮らしたかった」など動機もいろいろだ。

無農薬や自然食、環境や自然に関連しているものが多い。できるところから始められる手軽さと、農業をやめる人が増えたことにより耕作放棄地が増加し、農地が手に入りやすくなったことが背景にある。

「半農半NPO」「半農半自然食宿料理人」「半農半ペンションオーナー」「半農半プロスノーボーダー」「半農半炭アクセサリー作家」など、半Xの部分は人それぞれでユニークだ。

「トイレに行く暇もなく、昼夜の区別なく働いた。そんな生活を続けているうちに過労で倒れた。そうなって何が自分に必要なのか、初めて気がついた」というある元銀行マンは、銀行を退職後に鍼灸を学び、今は畑を耕しながら「半農半鍼灸師」として、のどかな村で妻と自給自足の暮らしを送っている。将来は自然農などのワークショップを取り入れた滞在型保養施設など、自然を肌で感じられる場を作るのが夢だという。

塩見さんは大手通販メーカーを退職後、農業を行いながら自身も京都府綾部市で地域活性化に取り組んでいる。同氏にとってのXは、自分が住む地域の活性化と「半農半X」を広めていくことだ。

半農半Xが支持される理由について話を聞いた。





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1965年、京都府綾部市生まれ。大学卒業後、大手通販会社を経て、2000年より現職。NPO法人「里山ねっと・あやべ」を通して、里山、グリーンツーリズム、綾部里山交流大学、地元通信など、綾部市の行政とも連携し活動を行っている。
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