社会を変える、エネルギーをシフトする

――これまでの考え方、発想の転換が必要なようですね。

「映画では原発問題に直面している祝島と、スウェーデンでエネルギーの自立に取り組む人々の取り組みを通して、環境保護と経済の両立の可能性を探りました。

そして、考え至ったのは、『社会を変える、エネルギーをシフトする』ことでした。これは持続不可能な文明から発想を転換する、従来の価値観をひっくり返す考え方です。

大事なのは普段、見過ごしている『自然循環の力』であり、それを敵にするのではなく、共存していくことです。私たち一人ひとりの力はたいへん小さく、こうした大きな問題に対してどうにもならないと思いがちです。

しかし、そんな絶望的な状況の中にあっても、存在する可能性と、どんなに希望が小さくても諦めないという気持ちで取り組んでいる人たちがいるということを多くの人に知って欲しいと思います。


私自身は映画を作って終わりでなく、これからをしっかり見続けていくことが大事だと考えています。

『みつばちの羽音』というタイトルには、みつばちの羽音のようにぶんぶんと鳴って、声が広がっていけばいいという願いを込めています。

映画を作っていて、やりがいを感じるのは、いろいろな場所でいろいろな人に会って話が聞けることです。

『こんな問題で困っている』という話を聞けば、『あっちでこういう話がったよ』って教えてあげる。そうすると、『困ったり、悩んでいるのは自分たちだけじゃないんだ』という仲間意識が芽生えてきます。

活動の輪が広がっていくのがとても楽しいですね。映画では、結論や答えを出していませんが、映画を見た一人ひとりがそれぞれの答えを出してくれたら嬉しいです」


(ライター 橋本滋)





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▲祝島では自然エネルギー100%自給を目指す取り組みが始まった。