エネルギー問題はどこに向かうべきか
 
「ミツバチの羽音と地球の回転」

映画監督・鎌仲ひとみさん

「ミツバチの羽音と地球の回転(鎌仲ひとみ監督)」が東京・渋谷のユーロスペースで公開された。この映画は青森県の六ヶ所村の核燃料再処理工場を取り上げた「六ヶ所村ラプソディー」から4年。舞台を原発建設の問題に直面する山口県の祝島(熊毛郡上関町)に移し、「持続可能な未来をいかに作っていくか」をテーマにした作品である。環境、石油の枯渇などの問題に直面する未来に人々はどう向かい合うべきかを問いかける。 



▲原発計画の問題に直面する山口県・祝島

原発は本当に必要かを問う

鎌仲さんは2003年、湾岸戦争で米・英軍が使用した劣化ウラン弾が原因と見られる、イラクの子どもたちに白血病、がんが急増している問題などを取り上げた「ヒバクシャ―世界の終わりに」を発表。これまで核や原発をテーマに映画制作を続けてきた。

「ミツバチの羽音と地球の回転」は、2006年公開され全国600カ所以上で上映された「六ヶ所村ラプソディー」に続く3作目である。

舞台となる山口県の祝島(いわいしま)は、瀬戸内海に浮かぶ約500人が暮らす小さな島。この島に中国電力の上関原発計画が持ち上がったのは、今から28年前、1982年のことである。

建設予定地周辺には、絶滅が心配されるスナメリなど多様な希少生物が生息することから、環境破壊につながるとして約90%の島民がこの計画に反対する。

映画ではこの祝島と、スウェーデン、二つの地域を取り上げ「持続可能な社会」「環境保護と経済の両立」を模索する取り組みを描くとともに、原発やエネルギー政策が抱える問題点を提起する。

上映に先立ち、鎌仲さんに話を聞いた。





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富山県生まれ。早稲田大学卒。ドキュメンタリー映画監督。2003年公開のドキュメンタリー映画「ヒバクシャ―世界の終わりに」は、地球環境映像祭アース・ビジョン大賞、文化庁映画賞文化記録映画優秀賞など多数受賞。2006年公開の「六ヶ所村ラプソディー」は全国600カ所で上映され、10万人以上を動員した。



▲映画の舞台となる山口県の祝島。原発建設計画から28年、今も議論は平行線が続く。