ボルネオの現状を教えてください。

「ボルネオの森はここ20年間で急速に失われています。豊かな森はCO2を吸収し、大量の酸素を生み出すことから、『地球の肺』と言われます。

現地の森は5層構造になっていて、高い木だと70㍍以上にもなります。その高い木を切ってしまうと、その下の層も影響を受け、そこに暮らしていた生物は生きていけなくなります。

かつて、豊かな生物多様性があり、世界に存在する3000万種の生物のうち、半分の1500万種が生息すると言われていた広大で豊かな大地は、森が失われるのと同時に生物も急速に姿を消しています。伐採が進み、森がなくなると、オランウータンは移動できなくなっています。

オランウータンの生息地は、世界でボルネオとスマトラだけで、現在は100年前の8%、2万5000頭が残るのみとなっています。森林の伐採が進んでいる理由は、木材としての利用の他、安いパーム油の需要の高まりを受け、油ヤシ畑に変わっているからです。

地球上の生態系は多種多様な動植物で構成され、お互いが食べたり食べられたりといった食物連鎖によってバランスがとられています。

生物の絶滅は、将来、生態系が壊れるシグナルです。ボルネオの広大な森が消えること、生物多様性が失われることは、地球規模で悪影響を及ぼす可能性があります」

NPOの活動について教えてください。

「当NPOでは親からはぐれたり、怪我をしたオランウータンを保護し、リハビリを行った上で、森に帰すための支援活動を行っています。これまで880頭を森に帰しましたが、生活できる森がないのでは困ります。

現在、インドネシア政府より2015年までにリハビリしたオランウータンを保護するという方針が出されたのを受け、60年保護区として土地を確保しました。

ただ、その土地を保護するには、坪あたり約1円のライセンスフィーが必要で、その資金を集めるため、ポスターと100枚のシールをセットにして1万円で購入していただく『はっぱシールで森づくり』という募金活動を行っています。

当NPOの事務所がある東京・田無の地元の商店街などにも協力してもらって、活動の輪も広がっています」





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