運命変えたツバルとの出会い

――ツバルと活動内容について教えてください。

「ツバルは南太平洋に位置する9つのサンゴ島(環礁)からなる小さな島国です。すべての島を合わせても面積は26平方㌔㍍(東京都の品川区と同じくらい)で、小さな島々に1万人の人たちが暮らしています。

海面上昇の影響もありますが、浸食によって陸地が削りとられ、国土面積が減っています。すでに国を離れ、ニュージランドなど外国へ移住する人も大勢います。

私が始めてツバルを知ったのは1992年、ブラジルのリオで行われた地球サミットでした。私は大学で建築を学び、卒業後は大手ゼネコンに就職し、東京・新宿の高層ビルに通勤し、設計の仕事をしていました。

当時、時代はバブル期で建設業界では大型開発が進んでいました。趣味がダイビングだったこともあり、『環境が壊れる現実』をニュースで知った時は、とてもショックでした。

『自分の仕事も環境破壊につながっているのではないだろうか…』、そんな疑問が生じ、仕事を続けることが無意味に思えてきました。そして、『とにかくツバルに行こう』と現地に行ってみることにしたのです。

会社員という安定した環境を捨てることに迷いがあったことも事実ですが、それ以上に『行動しなければ』という気持ちが強かったですね。ツバルに始めて訪れたのは1998年でした。

ツバルの現地ではスタッフが一人常駐していますが、私自身は、一年間に5~6回、日本とツバルを行き来する生活です。2010年7月、ツバル政府より環境親善大使に任命され、海岸侵食など温暖化被害対策のための取り組みを行っています。

最初に訪れたときは自分に何ができるか、まったく分かりませんでしたが、幸運だったのは当時、インターネットが出始めた時期に重なったことでした。

始めに取り組んだのが、海岸侵食を防ぐためのマングローブの植林で、その寄付を集めるため、同国の『.tv』というドメイン活用をツバル政府に提案しました。

これが採用となり、今日に至る交流のきっかけとなりました。その後、マングローブ植林や、水の確保などの支援活動、取材に訪れるマスコミ関係者らへの宿泊、移動のサポートや、日本からの参加者を対象にしたエコツアーなどに活動が広がっていきました」






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▲ツバルはサンゴでできた島国。美しい自然が残るこの国に、水没の危機が迫る。



▲海岸浸食を防ぐため、マングローブの植林を行っている。