1万人の撮影プロジェクト
水没の危機迫るツバルを世界に発信


NPO Tuvalu Overview 代表理事 遠藤秀一さん

 




海面上昇で、国家消滅の危機

洪水、ハリケーン、干ばつなど異常気象が世界各地で頻発するようになった。温暖化の影響のひとつが海面上昇である。

温暖化問題が世界的な関心事として注目される中、2010年12月に行なわれた気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)では、主要排出国であるアメリカ、中国を含めた温室効果ガスの削減数字設定など、新しい枠組み構築はCOP17に持ち越された。この結果に対し、当時のツバル副首相は、「国際社会の進歩を遅らせる」と失望感を表明した。

過去100年間で地上の気温は0.74度上昇。1961年以降、年1.8㍉のペースで上昇していた海面上昇は93年以降、年3.1㍉と急速に進んでいる。

温暖化により海水の熱膨張、氷河などが溶け、海面が上昇し低い土地は浸水する。ツバルは海抜が最高で5㍍しかないため、世界で一番早く水没する国と言われている。

このツバルで、長年、温暖化対策に携わっているのが遠藤秀一さんである。昨年、ツバル国から環境親善大使に任命された。

現在、ツバル国民1万人を撮影する「ツバルに生きる1万人の人類」プロジェクトをはじめ、マングローブ植林、温暖化被害の支援のための様々な活動を行っている。今日、日本でツバルのことが広く知られるようになったのも、遠藤さんの貢献が大きいと言って良いだろう。

今日に至った経緯や現状、活動について話を聞いた。





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ツバル環境親善大使。写真家。未分離デザイン研究所 代表取締役所長。
NPO Tuvalu Overview代表理事 http://www.tuvalu-overview.tv/
1966年、福島県いわき市生まれ。大阪芸術大学芸術学部建築学科卒。大学卒業後、大成建設株式会社入社、建築設計に携わる。温暖化問題をニュースで知ったことをきっかけに、ツバルの支援活動を開始。1998年独立し、現在に至る。



▲首都フナフチで見られる高潮の被害