それでも、きれいな海、豊かな自然、ツバル人の底抜けの明るさには癒されますし、『人間らしい生活とは何か』ということを考えさせられます。

豊かな自然、人の温かさなど、素晴らしいものがたくさんあり、将来もずっと残って欲しいと思います。

しかし、現地の人に話を聞いていると、『先進国のように最新の家電を持って、便利な生活がしたい』とか、『自分の子どもには、高い教育を受けさせたい』という消費社会、先進国への憧れもあるのも事実です。

ツバルが持つ豊かな自然、ここにある暮らしこそ、最大の財産だということを伝えていきたいと思っています。残る8500人の撮影は、あと5~6年で終わらせたいと思っています」


鹿児島で「山のツバル」に着手

――鹿児島で「山のツバル」を始めたそうですね。

「自分も自然の中で暮らしてみようと、東京から拠点を移し、2010年9月から『山のツバル』をテーマに、鹿児島県で自給自足の暮らしを始めました。今、野菜などを自分で作り、かまどでごはんを炊く生活です。

ツバルは日本から遠いですし、日本で温暖化のことを広く知ってもらうための場所を作ること、そして、自分自身も自然の中で自分の力で生きる力をつけたいと思ったのが始めた理由です。

ツバルに行こうと思った時、『人の役に立ちたい』という気持ちが強かったのですが、振り返ると自分の方が多くのことを教わっていたことに気がつきました。

人は便利な暮らしを求めて自然を壊し、また、田舎では人が減っています。ツバルもそうですが、日本も同じで豊かな自然が残る場所こそ、人間同士の触れ合いや文化など、本当の意味での豊かさがあります。

『山のツバル』では、そんな生活が体験できるツアーなども行っていく予定です。温暖化のことや、こうした暮らしを、多くの人に知っていただく機会になればと思っています」


(ライター 橋本滋)





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▲COP15で写真展を開催。写真右は当時のツバル首相。



▲ツバルの「今」を伝える遠藤氏の写真展