犬はクマが近づいたときに吠えて知らせてくれるので、夜間はテントの周りをぐるっととり囲むように配置します。犬は寒さにたいへん強く、餌を食べていれば、外でも生きることができます。音が聞こえないと命にも関わるので、音楽を聴くこともできず、吹雪のときはただ、じっとして過ごすします。こういうときは辛いですが、ただ、じっと耐え嵐が過ぎるのを気長に待つしかありません。

ずっとテント生活ということではなく、イヌイットが狩りに使う小屋などに宿泊することもあります。また、定期的に小型飛行機やスノーモービルで食糧や水の補給を受けながら移動します。ほとんど単独行動ですが、場所によっては現地のイヌイットの助けを借りながら、チームで動くときもあります。自分の位置を知らせるGPSがあるので、そういう面では安全性は比較的確保されています」

■厳しい環境を克服する原動力は何ですか?また、今後はどんなことをやっていきたいとお考えですか?

思い立ったら行動するという性格で、思いだけでこの地を訪れました。冒険が実行できないことが分かったときはがっかりしましたが、毎年この地に足を運ぶうち、現地のイヌイットから犬そりの操縦方法を学び、そして、研究者たちとの出会いがありました。それらはすべて偶然で、好きなことをやってきたその延長線に今がありますが、今の仕事に出会えて良かったと思っています。

妻は南極越冬隊だったということもあり、私の仕事に対して理解してくれています。ただ、両親は今でも心配なようで、諸手を挙げて賛成ということではないようですが、それでも最近はメディアなどで取り上げられる機会も増え、そんな姿を見て喜んでくれているようです(笑)。

継続的な観測調査を実施、データを収集することで、環境改善の取り組みにもつながります。研究者と共同で北極圏の広域な環境調査を継続して行い、同時に極地の現状を自らが情報発信していくことで次の世代にメッセージを送れると思います。このプロジェクトが環境問題に一つの貢献になると思います。一緒に活動してくれる仲間も募集していきたいですし、イヌイットと日本の文化交流なども手掛けていきたいと思っています」

(ライター 橋本滋)





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山崎さん率いる「アバンナットプロジェクト」で、犬のサポーターを募集!

現在、このプロジェクトでは14頭の犬達が活躍している。年間飼育費はえさ代(カナダ本土からのドックフード輸送費を含む)など、1頭につき20万円ほどかかるが、遠征費の大部分を山崎さん本人の個人負担と、企業からの募金等でまかなっている。そこで、犬たちの活躍を応援してくれるサポーターを募集している。サポーターになってくれた人には、活動報告の北極からの便り「北極圏をテツが行く」を配信する。詳しくはアバンナット事務局まで。

HP:山崎哲秀ー北極圏をテツが行くー http://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ 
メール:avangnaq@gaia.eonet.ne.jp