新たに設置される
原子力規制委員会の人事案

フタをあければ「?」な
面々ばかり

eシフト 見直しを要求

新しい原子力規制委員会の設置にあたり、「人選にあたり原子力ムラからは選ばない(細野豪志環境相)」という基本方針のもと人事案が発表されたが、人選が適切でないとの指摘が上がっている。

政府は原子力安全規制に対する国民の信頼を得られるよう中立公正性を持ち、透明性の確保を徹底する機関にするとして、過去3年間に原子力関連業界から年50万円以上の報酬を受けていないことなどの基準を設けて人選にあたってきた。ところが、フタをあければ委員長にあてられる田中俊一氏を筆頭に、原子力推進の立場を担ってきた顔ぶればかり。

脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会の eシフトは政府に対して、「原子力ムラの意向を色濃く残す人事」として見直しを求めた他、朝日新聞は7月27付けの紙面で、日本原子力研究開発機構の更田豊志氏、地震予知連絡会長で東大名誉教授の島崎邦彦氏が原発を持つ電力会社から報酬や講演料を受けていたとする記事を掲載した。

委員長にあてられる田中俊一氏は、日本原子力研究開発機構(旧動燃)副理事長、原子力委員長代理、原子力学会会長を歴任。eシフトは、「原子力委員会は国の原子力推進機関として原子力を推進する立場にあり、また、副理事長を務める(独)日本原子力研究開発機構は核燃料サイクル推進の研究開発機関。高速増殖炉・もんじゅの設置主体であり、原子力ムラの関係者ではなく当事者」と批判。

また、委員候補の3名に対しても欠格要件に該当する人事と指摘。前出、日本原子力研究開発機構の更田豊志氏に関しては、「福島第一原発事故後も原発推進を前提とした『原発の継続的改善』を主張した原子力ムラの当事者であり、安全規制対象のもんじゅを運営する同機構の現役幹部の登用にあたる」。

さらに、中村佳代子氏に関しては、「同氏が所属する(公益社団法人)日本アイソトープ協会は、医療用放射性廃棄物処理工場を運営し最終処分場の設置を計画中。原子力安全規制の対象になる事業所の代表を規制委員に加えている」。

また、国連大使、JICA副理事長・顧問を歴任した外務官僚・島賢三氏に関しては「政府から独立して政策を決定し執行する原子力規制委員会に官僚OBは不適格。原子力規制委員会の業務である原発再稼働の基準、原発40年廃炉、放射線モニタリングなどの専門家でもない官僚OBは、政府の意向を原子力委員会に反映させるためのお目付け役にすぎない」と指摘した。

「政府は原子力学会会長や原子力委員長代理として原発を推進してきた田中俊一氏を規制委員会の委員長へ横滑りさせたが、これは原子力ムラの中心人物に規制を担当させることに他ならない。中立公正ではなく、原子力安全行政に対して更なる国民の不信をもたらす」として、政府に対して適切な人事案を国会に提示していくよう求めている。


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