環境エネルギー政策研究所(飯田 哲也所長)、フリードリヒ・エーベルト財団主催による「自然エネルギー100%コミュニティー・フォーラム」が2月3日、東京の衆議院第一議員会館で開かれた。世界各地で「自然エネルギー100%」を目指す取り組みが活発化しており、人口550万人のデンマークではすでに40%、人口8000万人のドイツでは23%を自然エネルギーでまかなっているのをはじめ、デンマークのサムソ島では10年で、100%を実現している。この日は国内外の専門家らが集まり、自然エネルギー100%を目指す取り組みの現状や課題について、意見交換を行った。
ドイツから訪れたピーター・モーザー氏(IDE)は、「現在、ドイツでは気候変動の影響のない街を作ることを目指しており、2007年から国内36地域で再生可能エネルギーについて調査・研究を行っている。2030年、2040年に目標を定め、交通手段や家庭すべてにかかるエネルギーの需要、および、必要な供給量の見通しについて数字を出し、風力やバイオマスなどどのエネルギーがどれくらいの割合で必要かなどについて数値を出しているところだ。2050年を目標に、石油も石炭もいらない自然エネルギー100%社会の実現を目指しているが、そのためには県や市など自治体、地域住民の取り組みが極めて大事で、そのリーダーの育成が鍵になる。今後、具体的な実現方法などについて、情報交換を行っていく必要がある」と語った。
また、現在93人の地方自治体の首長が参加する、<脱原発を目指す首長会議>の上原公子氏は、「2011年以降、地域でエネルギーをどうするかについて関心が高まり、脱原発を主張する首長が増えている。一方で、反対するのは原発立地自治体で、それは経済的に自立できないという理由によるところが大きい。国からの補助金に頼らず、どうすれば解決できるかが課題だが、少しずつ地域では市民主導で、自然エネルギーを増やす取り組みが始まっている。日本は縦に長く気象条件も異なるので、各地域に合った方法を見つけていくことが大事」と述べた。
この他、県、市など自治体のサポート体制の在り方、電力会社への接続をどうするのかといった系統連係や、余った電気を他の地域への融通するための法改正や送電網の整備、地域、産業の活性化など幅広い分野について意見を交わした。