世界自然遺産「北海道・知床」をウォッチング!

2005年、世界自然遺産に登録された「北海道・知床」。国内では屋久島、白神山地に次ぐ3番目の自然遺産である。知床五湖などの観光地のほか、ヒグマ、シマフクロウ、オジロワシ、オオワシ、トドといった貴重な野生動物が生息し、手つかずの豊かな自然が残る。

世界自然遺産に登録されて以降、人気に拍車がかかり、年間230万人もの観光客が訪れる。しかし、今なお「一泊」という利用客が9割以上。エコツアーに参加するには2泊、3泊の連泊が必要なので、土地の自然をじっくり堪能するといった目的でエコツアーに参加する人は、まだまだ少数派だ。

知床は国からエコツアーのモデル地域として指定されていることもあり、全国的に見ても先進的な存在だ。知床五湖ネイチャーツアー、森林エコツアー、シーカヤックなど豊富なメニューが用意されているほか、アイヌ文化を学んだり、近くの羅臼(らうす)ではスケトウダラ漁といった見学ツアーなど地元文化、地場産業を見学するツアーもあり、充実度は高い。

知床の宿泊施設「知床岩尾別ユースホステル」では、エコツアーのプログラムを用意している。その中のひとつ「1日コース」は、早朝にカヤックで知床の断崖と滝を見に行き、午前中知床五湖を散策するといったコースだ。

午後は、海岸で焚き火を囲んでの知床浜鍋(カニ・サケ・ホタテ・ツブ・道産野菜)。その後は樹齢300年以上の大木でツリーイング(木登り)を体験したり、森作りを行う。知床ならではの自然体験と地元の食材を使った料理で、海、山、豊かな大自然を堪能できる内容となっている。

知床では、夏場はハイキングや登山の人気が高いが、雪の多い冬場でも流氷ウォッチングなども楽しめ、四季を通してエコツアーが体験できる。年間を通して観光客を呼び込めるのは大きな強み。今後、エコツアーを楽しむ人が増えていくだろう。

知床五湖ではヒグマが出没するため、周辺の一部で歩行が制限されてきたが、ガイド同伴であれば散策を認めるといった新ルールが検討されており、早ければ来年から実施される見通しだ。実現すれば、新しい呼び水となるだろう。地元のガイド会社は10数社。50人以上のガイドが働いているが、エコツアーのさらなる充実を目指し、取り組みを続けている。

知床連山が湖面に映る知床五湖の美しさは格別だが、エコツアーに参加すれば、さらに一歩踏み込んだ北海道ならではの大自然を堪能できるだろう。

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