原発再稼働にNO! 
立ち上がる市民

首相官邸前で1万人がデモ
市民団体・eシフトは、エネ政策に注文


福井県の西川一誠知事は6月16日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に同意する考えを表明。政府はこれを受けて再稼働を最終決定し、原発は7月上旬にも再開される見通しになった。

「この夏を乗りきるために再稼働はやむなし」「原発の安全性が確認された…」と、政府は再稼働の理由を上げた。その真偽はさておき、福島原発事故の教訓が生かされず、再び、原発事故が起き、広大な土地が放射能で汚染され、人が住めないところとなれば、目先に得られる経済利益をはるかに上回る代償を支払うことになる。

多くの国民が不安を感じる中、「大飯原発再稼働」に舵は切られたが、これに対し6月15日、ツイッターで呼びかけた再稼働に反対する人たち1万人が、東京永田町の首相官邸前に集まり「再稼働を許さない」などと声を上げた。

一方、脱原発依存を柱に従来のエネルギー政策を見直す方向で進められ、8月にもまとめられる予定の国のエネルギー政策に対して、脱原発・エネルギーシフトを進める市民団体のeシフトは見直しを求める要望書を提出した。

エネルギー政策をまとめるエネルギー・環境会議は2030年時点の電力における原子力発電の割合について、「0%」「15%」「20~25%」を選択肢とする中間的整理を提示しているが、「原発維持を選択肢の中に残している」として改善を求めた。

提言は脱原発を基本方針として進めるべきとした内容。「原子力発電はゼロエミッション電源として、日本の温暖化対策の主流と位置付けられてきたが、温室効果ガスを排出しないのは発電の過程のみで、燃料の採掘から放射性廃棄物管理・処分までのライフサイクルを見れば、大量のCO2を排出している。

さらに、温排水をはじめ熱エネルギーの7割を環境中に捨ててしまうという極めて効率の悪い発電システムで、排熱による直接の環境影響も無視できない。さらに、放射能汚染の影響を考えれば、最も環境・社会的負荷の高い発電方法であり、原子力発電は温暖化対策の手段から除外すべき」。

また、「使用済み核燃料処理の管理・処分は、避けて通ることができない問題。負の遺産をせめて増やさないためにも、原発ゼロとともに核燃料サイクルの中止を早急に決め、課題と向き合うことが必要。また、即時原発廃止と、使用済み核燃料の全量直接処分(核燃料サイクルの停止)がもっとも経済的であるとする、原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の試算結果は、重く受け止められなければならない」として、政策に反映するよう求めた。

デモ以外でも、ツイッターなどで多くの市民から「脱原発」を求める声が多く上がっている。このように社会問題が市民から提起されることは、これまでの日本の歴史の中でもなかったことだ。福島原発事故、原発問題を機に国民のマインドも変わってきた。その声を政治にしっかり、伝える仕組みを作ることが脱原発を進める一歩になるだろう。

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