ラムサール条約登録地・霧多布湿原の大自然を満喫する
大人気のフラワーツアー、長靴トレッキング、どさんこツアーを体験!



写真提供:霧多布湿原センター






太古の時代から、変わらぬ姿で残る風景


ラムサール条約に登録され、タンチョウの営巣地としても有名な「霧多布湿原」は、北海道の東、根室と釧路のほぼ中央に位置する浜中町にある。太平洋に面して弓型に広がる霧多布湿原は、東西3~4㌔㍍、南北9㌔㍍に及ぶ国内3番目に大きい湿地帯で、6月から9月まで様々な花が咲き、別名「花の湿原」と呼ばれる。

霧多布では貴重な自然を残そうと市民が中心となり、1986年から保全活動が始まった。当時、霧多布湿原は約3168㌶の約3分の1の1200㌶が民有地だったため、土地の買い取りを行うための募金活動が始まり、その運動は全国に広がった。2000年に「NPO法人・霧多布ナショナルトラスト(注1)」が設立。エコツアーは同トラストの一事業として行われ、その収益が湿原の保全に還元される仕組みとなっている。

湿原を訪れると、その希少性が理解できる。木道から湿原の植物の根本を見てみると、うっすらと水の流れがあり、そこに花や植物が育っているのが分かる。底の泥のように見えるのは、植物が水中で堆積し陸地化したもので、厚さ0.7㍍から2.6㍍のミズゴケの泥炭地でできており、足を踏み入れればずっぽり沈んでしまうほど柔らかい。希少な野生動植物の生息地として機能する一方、湿原で蓄積されたミネラル分は川に運ばれ豊かな海を育てる、ろ過装置のような大切な機能を果たしているのだ。

豊かな自然に恵まれた霧多布では、様々なエコツアーが楽しめる。「フラワーツアー」は一年を通じて約650種類の花が咲く湿原で、時期に合わせた身頃のポイントを案内してもらえる。また、長靴を履いて蛇行した川沿いを散策する「長靴トレッキング」、湿原の妖怪とも形容される「やちぼうず」の木道ミニガイド、マウンテンバイクも人気。

また、月1回主婦が地元の食材を使って、1食800円でランチを提供する「ワンディシェフ」も地元の食材を手軽な料金で楽しめるとあって好評だ。また、一般向けではなく地元の子供向けに、釣り竿づくりや無人島探索、秘密基地づくり、川の源流捜しといったユニークなツアーも行っている。
2007年度のエコツーリズム大賞(環境省主催)に選ばれた。




湿原の奥はこんな風になっている

(注1)霧多布湿原トラストとは?:霧多布湿原の保全活動、地域の自然や壊れた湿原の再生、ファンづくりの3つを目的に活動するNPO。


霧多布湿原トラストのHP

エコツアー一覧


その1■フラワーツアー



湿原内には4本の木道がある。時期を見ていちばんお勧めのスポットを案内してくれる
写真提供:霧多布湿原センター


650種類の花が咲く湿原を歩く

650種類の植物を観ることができるのがこのツアー。6月のワタスゲ、7月のエゾカンゾウ、8月はノハナショウブの群落は圧巻。
湿原の成り立ちや豊かな自然について、インタープリター(ガイド)が解説してくれる。湿原には4本の木道があるが、それぞれ咲く花が異なる。これ以外でも霧多布岬、海岸線など様々なコースがあり、移ろう季節に合わせ花のベストポイントを案内してくれる。
岬では花だけでなく海岸線の景色や海鳥を観ることができる。

約3時間。大人4000円、子供1500円。

霧多布湿原センター

北海道厚岸郡浜中町四番沢20
0153-65-2779


インタープリターの説明に耳を傾ける参加者



その2■浜中フレンドリー牧場 どさんこトレッキング



クマザサの森を進むと、途中でエゾシカやキタキツネなど野生動物に出会うことも
写真提供:浜中フレンドリー牧場


ぽっくりぽっくり・・・どさんこで道なき道を行く

どさんこは北海道の日本在来馬。浜中フレンドリー牧場には現在、15頭のどさんこがおり、山や海を歩く4つのコースがある。林間コースは馬の背丈ほどあるクマザサの馬道をゆくツアー。原始の森を通り、広い草原へ出ると、眼下には太平洋と霧多布湿原が広がる。2時間で約20㌔㍍の道程で道中、エゾシカ、キタキツネが横切ったり、タンチョウなどの野生動物のほか、ニッコウキスゲ、ワタスゲなど湿原の花も観ることができ、アドベンチャーな体験ができる。
一方、海岸コースは、干潮時には5㌔にも及ぶ美しい砂浜でトレッキングを楽しむコースだ。海風を感じながら、爽快な気分が味わえる。乗馬経験者など扱いの慣れた人には、海岸線を全力疾走することもできる。「どさんこは、小さくて温和で乗りやすいんですよ」とご主人。
参加者の半分が馬に乗るのは初めてという。未経験の人には30分ほどレクチャーしてくれるので安心だ。


林間2時間コース 一人7000円
海岸2時間コース 一人8000円
3時間コース 一人1万円
1日コース 一人1万3000円


浜中フレンドリー牧場
北海道厚岸郡浜中町浜中桜北120番地
090ー8278-6096


海岸コース。どさんこはおとなしくて乗りやすい。初心者も安心


その3■長靴トレッキング



湿原の中を歩くというのは、なかなかできない体験。時折、ころびそうになり、あわてる。そのスリルが楽しい


湿原の中を歩く、ちょっとスリリングなアドベンチャー体験

実は湿原の中には無数の水の流れがある。湿原の中を小川に沿って散策するのがこのコース。長靴をはいて、ズブズブと湿原の中に沈み込む感触を足先まで感じる。泥に足をとられて転びそうになったり、時には深みにはまって長靴の中に水が入ってしまうことも。そんなスリルとハプニングが、このツアーの魅力である。水の中だけに転んだらたいへんと恐る恐る歩く。
足元に注意を払うのに必死だが、時折、インタープリター(ガイド)は足を止めて視界を上に向けさせ、花や植物、また、ヒグマやエゾシカが歩いた痕跡を教えてくれる。太古の時代からほとんど姿を変えていないという景色を見て、タイムスリップしたような感覚も味わえる。澄み切った美しい水、その冷たさに触れれば、湿原のことをより深く理解できるだろう。

約3時間 大人4000円、子供1500円

霧多布湿原センター

北海道厚岸郡浜中町四番沢20
TEL:0153-65-2779


太古の時代から変わらないという湿原の風景

霧多布情報

霧多布温泉 ゆうゆ

太平洋にのびる霧多布岬・アゼチ岬・霧多布湿原など素晴らしい景観に囲まれた温泉施設。四季折々に豊かな表情を見せる湿原を眺めながら、太平洋を背に入浴できる。
大人(中学生以上)500円、小人(小学生)250円
※乳幼児は無料
厚岸郡浜中町湯沸432番地
TEL:0153-62-3726

民宿・霧多布里(きりたっぷり)

自給自足を目指した食材(有機栽培)から、微生物で分解浄化するトイレなど宿の設備に至るまで徹底的にエコにこだわる。地元でとれた魚介を使った「たっぷり寿司」がおすすめ。

厚岸郡浜中町榊町488番地
TEL:0153-64-2101

おみやげ・霧多布湿原センター ミュージアムショップ

天然昆布生産高日本一を 誇る地場産の昆布製品、浜中のきれいな空気の中で育った牛の乳から作られたチーズなどの商品を取り揃えている。

北海道厚岸郡浜中町四番沢20
霧多布湿原センター内

浜中町へのアクセス

●釧路空港から車で約2時間または中標津空港から車で約1時間30分

●JR茶内駅または浜中駅から車で約10分


■浜中町の宿泊施設

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