原発再稼働を急ぐ関西電力に
異論続出

節電、経営改善を進めるべき

国会エネルギー調査会準備会


関西電力の赤字は今期2500億円で、来期は4000億円に膨らむ見通しだ。原発による発電が50%を超え、原発の稼働が遅れるほど損失が拡大するという、原発に依存する構造が明らかになってきた。それゆえ、大飯原発再稼働を急ぎたい関西電力。また、それと歩調を合わせるかのように経産省総合資源エネルギー調査会基本問題委員会は本来、エネルギー基本計画をゼロベースで見直し、原発への依存度低減のシナリオを具体化するところ、逆に原子力依存度を高める方向に進んでいる。

先ごろ、発表された今夏の電力の需給見込みによると、関西電力の需要想定は3030万KW。供給力から需要想定を引いた不足電力(需給ギャップ)は495万KWで、北海道電力の同16万KW、九州電力の同60万KWを始めとする9電力会社と比較しても群を抜いて不足が大きい。一方、今夏のピーク時の「節電の見通し」について、東京電力が10%を見込むのに対して、関西電力はわずか3%と消極的な数字を示した。

4月26日、衆議院第一議員会館で「国会エネルギー調査会準備会」が行われ、逢坂誠二(民・衆)、河野太郎(自・衆)、福島みずほ(社・参)氏ら超党派でつくる原発ゼロの会メンバーを中心にした国会議員、また、阿南久(全国消費者団体連絡会事務局長)、飯田哲也(環境エネルギー政策研究所所長)、植田和弘(京都大学教授)、金子勝(慶應大学教授)氏ら、総合資源エネ調基本問題委員会委員が出席し意見を交換した。

この席上、議論の中心に上ったのが「関西の電力は足りるのか」だった。もともと関西電力は原発依存が高く、原発が止まったことにより火力を増やした結果、燃料費のコストが上昇したことや、老朽化した原発に依存し、原発コストを低く見積もってきたことなど、経営や姿勢の問題点について指摘が集中した。

「関西電力は経営能力が低い失敗会社。過去の経営の失敗のツケが今になって出てきている。『できません』という数字を先に出して論点をすり替えている(金子慶應大学教授)」。

大阪市のアドバイザーも務める飯田氏(環境エネルギー政策研究所所長)は、「福島原発と同程度の事故が起きた場合の対策について質問したところ、『事故が起きないようにします』という回答に関西電力の本心が分かった。『事故は起きない』という前提で進めており、福島の事故以前とまったく変わっていない」と批判した。

また、植田氏(京都大学教授)は、「東京都は昨年18%の節電を達成した。実はこのうちの4割は業務(空調・照明)部門によるものだった。LEDなども使えばもっと大きな節電ができるはず。東京と大阪は構造が似ており、節電の上積みは可能」と述べた。

この他、「黒字化が最優先となり、安全性にまで目が行き届く余裕はないだろう」「これまでのエネルギー政策のどこが間違ってきたのか検証するのが先決」「国民目線に立った議論を進めていくべき」という声も聞かれた。

不良債権、老朽化原発による高コスト体質などの問題が明らかにしないまま、なしくずしで原発再稼働が進められようとしている。福島と同じ過ちを繰り返すことは許されない。こうした問題点をクリアにしなければ国民の納得は得られないだろう。

HOME









【PR】
直前予約なら、トクー!トラベル
◆ネットで24時間簡単予約!◆ホテル・旅館なら阪急交通社へお任せ!
exciteクーポン