国会事故調査委員会
福島原発事故は「人災」と断定

それでも、発表は
なぜ、再稼働後なのかという疑問

 

福島原発事故を検証する国会事故調査委員会は7月5日、「事故ではなく人災」と結論づけ、国の責任、東電と保安院の慣れ合いや、安全対策を後回しにした東電について「原発を扱う事業者としての自覚がない」とする報告をまとめた。

このニュースはBBC カーディアン紙 アルジャジーラなど、海外メディアでも大きく取り上げられた。

また、報告書では政府の指揮系統の一本化や、国の負担で被災地の被爆調査や医療制度の設置、放射性物質の監視と汚染物質の拡大防止策、また、廃炉の道筋などを求めた。

この決定は当然のことであろうが、気になるのはその矛先が、当時の官邸の責任に向けられたことだ。国会事故調の委員は自民党政権に深く関わった人や、民主党も管前政権に批判的な人が中心で、「事故の事実解明より、責任追及の政治ショー」と揶揄する声もあった。

報告書では自民党の50年体制の問題点を指摘しているが、自民党は原子力政策推進の立場を変えておらず、その点を追求しないのもおかしい。

そして、何より問題なのは、この報告書が提出されることを知りながら、大飯原発再稼働を決めた野田首相、その人であろう。報告書が出された後では、再稼働しにくい状況になることは間違いないだろうが、こうした姿勢は事故当時、放射能の汚染情報を把握しながら事実を国民に知らせなかった過去とだぶる。

大飯原発再稼働が決定されたことをうやむやにし、国民の目を当時の官邸の過剰介入に対する責任や、東電の責任に矛先を向かわせたのではないのだろうか。報告書を出して、これで問題は終わり…と収束させるつもりなのかもしれない。

今なお、第二、第三の原発を動かそうとしている。論点をたくみにすり替えるショーにごまかされないよう、注視していく必要がある。

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