原子力依存度「20%」「25%」「35%」
のシナリオは、原発の現状維持、
新規増設なくして実現困難

原発推進を進めるエネ調基本委に対し改善を要請

超党派の国会議員で作る「原発ゼロの会」


現行のエネルギー基本計画を「ゼロベースで見直し」「原発への依存度低減のシナリオを具体化する」はずの経済産業省・総合資源エネルギー調査会基本問題委員会が、逆に原子力依存度を高める方向で運営されているとの批判がある。

超党派の国会議員で作る「原発ゼロの会」は5月8日、経産省内副大臣室で牧野経済産業副大臣に対し、運営の改善等を求める要望書を要請した(写真)。

経産省総合資源エネルギー調査会基本問題委員会に対し運営の改善や、原発依存度低減に逆行する手法の改善、原発依存ゼロを目指す国会議員らで組織する「国会エネ調準備会」への協力を求めた。

要望書では、まず、経産省総合資源エネルギー調査会基本問題委員会(25名で構成)で、8名の委員が連名で提出した意見を無視し、委員長が審議を強引に進めている問題を取り上げた。

また、原子力依存度の高い提案に関して、委員から多くの異論が出たにもかかわらず、委員長、および、事務局が採択して強引に進め、あらかじめ意図した結果を導くための形骸化した議論の場にしているとして、公平公正な審議を求めた。

また、2030年の段階で原子力依存度を「0%」「20%」
「25%」「35%」という4つのシナリオを想定して、マクロ経済分析を進めようとしていることにも触れた。

福島第一原発事故を踏まえ、賠償や廃炉も含めたコストを算定すべきとし、正確なコストが不明な現段階では、将来のマクロ予測を行うことは意味がないと指摘。

さらに、原発依存度20%以上のシナリオは、原発の現状維持、または、新規増設なくしては実現が困難として、20%、
25%、35%の3つのシナリオは想定すべきでないとした。

また、シナリオでは省エネによる効率化10%について「目標が低すぎる」と批判。仮にマクロ経済分析を行う場合は、(1)省エネ、(2)再生可能エネルギー、(3)LNG等の化石燃料のクリーン使用、(4)原子力発電の優位性に基づいて、省エネによる効率化20%、25%、再生可能エネルギーの導入率25%、30%、40%、50%でシミュレーションするのが適当とした。

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