環境ナビ

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生物種の絶滅

ウナギがレッドデータに。乱獲、ダイナマイト漁などで水産資源もピンチに。懸念される動植物、生態系の地球環境問題

動植物の生息環境の悪化、急速に進む

6月12日、ICUNのレッドリストにニホンウナギが絶滅危機としてレッドリストに掲載された。WWFジャパンが「早急な対策が必要」との声明を出す一方、国立環境研究所などの研究グループも100年後、300種以上の維管束植物が絶滅するとの予測を発表。生息環境の悪化、地球環境問題により、動植物、魚類が絶滅の危機に追い込まれている状況が明らかになった。

レッドデータに入ったウナギ。ウナギが食べられなくなる、そんな日が来るかもしれない。

レッドデータに載ったウナギ。法的拘束力はないものの、ウナギが食べられなくなる、将来そんな日が来るかもしれない。

シラスウナギの乱獲でウナギ激減

すでに絶滅の危機がもっとも高い種としてレッドリストに掲載されるヨーロッパウナギをはじめ、最近、食用として漁獲されるようになり東南アジアで養殖が盛んなビカーラ種と呼ばれるウナギも「低危険種」から「近危急種」にランクアップするなど、ウナギの減少が深刻だ。世界のウナギの総生産量の95%は養殖(FAO)によるもので、海や川から採取したシラスウナギを獲り、いけすで育てる。ウナギが減っている原因として、まず挙げられるのが、シラスウナギの過剰な漁獲。野生のウナギの減少により、近い将来、養殖そのものが成り立たなくなり、「ウナギが食べられなくなる日の到来」が現実味を帯びてきた。種の絶滅は、地球環境問題の深刻な懸念のひとつだ。

密漁、密輸も横行

WWFジャパンはホームページに「緊急求められるウナギの資源管理」を掲載し、その中でシラスウナギの減少が取引価格の高騰を招き、それに伴い密漁、密輸も増加していると指摘する。2013年度、各県に報告されたニホンウナギのシラスウナギの採捕量合計量が、実際に養殖場に入れられた総量を大きく下回わっていた他、フィリピンではシラスウナギの減少を受けて2012年に輸出を禁止したが、2013年の日本の貿易統計では2トンを超えるシラスウナギが輸入された記録があるなど食い違いが見られ、シラスウナギのやり取りにおいて違法な取引が行われている実態が明らかになっている。WWFジャパンは、「ウナギを保全するためには、生息域に関係する国々が協力して資源管理、違法な行為の取り締まりを強化するとともに、養殖業者、小売り、外食産業の連携も不可欠」との見解を示す。

日本のシラスウナギの推移。(独立行政法人 水産総合センター)

日本におけるシラスウナギ漁獲量の推移。1990年以降、大幅に落ち込んでいるのが分かる。(独立行政法人 水産総合センター)

人が地球環境問題の一因に

また、ウナギだけでなく、世界の水産資源も危機的な状況に陥っている。1950年に2000万トンだった漁獲量は、1980年までに3倍に急増。1980年の後半以降、漁獲量は頭打ちになり、現在、日本周辺では41%の水産資源が枯渇状況にあるという。乱獲や資源管理の他にも生息環境の悪化などが影響していると考えられるが、そのひとつが海外を中心に行われている「ダイナマイト漁」だ。ダイナマイトを海中に投げ込んで爆発させ、死んで浮きあがってきた魚を捕獲する方法で、ガラス瓶に火薬を詰めたタイプのものが多く使われるため、サンゴ礁が破壊され魚が住めなくなる。一時的にはたくさんの魚がとれるが、「再生が難しくなる破壊的な漁業(WWFジャパン)」。今、世界の海では「獲りすぎ」が、地球環境問題のひとつの要因として問題視されている

植物も100年後、370種以上が絶滅へ

一方、国立環境研究所・九州大学ほかの研究グループは、日本植物分類学会と環境省が植物レッドデータブック編集のために行った調査データをもとに、1618種の維管束植物の絶滅リスクの定量評価を行った。その結果、100年後には世界全体の同植物絶滅スピードの2~3倍に相当する370種~561種が絶滅する可能性があることが分かった。同研究グループは「絶滅危惧種の保全には保護区の拡充が有効で、保全効果をより高めるため管理の実施が重要」との見解を示めした。

植物の生息環境も悪化の一途をたどっている(写真はイメージ)

植物の生息環境も悪化の一途をたどっている(写真はイメージ)

急がれる地球環境問題への対策

小さな昆虫などの生物が鳥に食べられ、その鳥が糞を落とし大地を豊かにし、植物が育つ。またその鳥はより大きな動物に食べられるというサイクルにより、生態系は維持されている。ひとつの種が消えることにより、このバランスは崩れていく。こうした動植物の危機的な状況、地球環境問題の原因のほとんどは人為的なものだ。人は自分たちが「快適な社会」を作ることを優先し、森、海、川、動物たちの住みかを壊し続けている。こうした循環のサイクルが壊れれば、食糧危機や新たな病気などの問題をひき起こす。畢竟(ひっきょう)、人も生存できない世界ということでもある。早急な対策が求められる。(ライター 橋本滋)

<地球環境問題 自然を考える>

「獲り尽くさない」オーストラリア先住民・アボリジニに学ぶ地球に優しい生き方

そもそも「地球に優しい生き方」とは今、世の中に蔓延する「競争至上。とにかく勝てばいい」「お金をたくさん持つことが豊かである」という価値感とは相入れないものなのだろう。

オーストラリア先住民のアボリジニは、同国人口の2.4%を占め、2006年時点で46万人ほどが暮らしている。かつて徹底した人種差別により、多くの命が犠牲になった民族でもある。1788年、イギリスによる植民地化以来、入職者によるハンティングなどによって殺害されたり、西洋から持ちこまれた病気、人種自体を消滅させることを目的にした政策により、50万~100万人以上いたアボリジニは、1920年には約7万人に減少した。そして、親と子どもを引き離し、子どもを街で学校に通わせ、白人のように生活することを強制したが、それが馴染むことはなかった。

西洋的価値のお仕着せであったわけだが、もともと狩猟生活をしていた彼らにそれが馴染まなかったことは想像に難くない。西洋人から見ると「勤労」「働く」という概念を持たない彼らは「怠け者」「下等な民族」と映ったようだ。

そんなアボリジニだが、「ドリームタイム」という物語がそれぞれの部族にあって、この物語を代々伝える文化がある。例えば、そのひとつに「祖先の精霊が荒れ地、つまりこの地上を旅してまわりながら、動植物をはじめ、月、空、星、太陽、水をつくり、それが終わると自分達も、動植物など地上にあるものになった」という物語がある。

アボリジニ一人ひとりには、ワラビーやカンガルーなどオーストラリアに住む身近な動物が、自らに宿る異なる神として決まっているのだという。大地を敬う精霊信仰であり、祖先の姿をトーテムにして敬う。アボリジニはこうした行為を通じて、地上のものと自分がどのようにつながっていることを理解するのだという。

そして、雑食性のアボリジニだが、自分の神だけは食べないのだそうだ。すべてのものを獲り尽くしてしまわないようにする知恵だとも言われる。

勝ち組・負け組という言葉に代表される弱肉強食を是とする論理、リーマンショックやヨーロッパの金融危機の発端となった金融の「強欲」がまかり通る世の中とどちらが文化的と言えるだろうか。「後世の子孫のことを考えて獲り尽くさない」。本当に地球に優しい生き方とは、アボリジニのような生き方であるということは、多くの人が感じるところであろう。