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地球温暖化

デング熱、ゲリラ豪雨など頻発する環境異変。見えないウイルス、異常気象…予測不能な未来が迫る<地球環境問題 脅威として姿を現す温暖化>

デング熱、異常気象…温暖化の進行を危ぶむ声続々

国内で70年ぶりの感染者が確認されたデング熱。日を追うごとに、感染者は増え続けている。感染場所とされる東京・代々木公園は9月4日、駆除後もウイルスを持つ蚊が確認され、ついに開園以来、初めて立ち入り禁止にされる事態になった。一方、広島市北部では大規模な土石流が発生するなど、近年、以前は見られなかった感染症や自然災害が頻繁に起きるようになっている。相次ぐ感染症の増加や、異常気象などの“環境異変”は、温暖化、地球環境問題の影響との見方がある。

温暖化でウイルス、媒介生物の活動範囲が拡大

70年ぶりのウイルス出現、異常気象など近年相次ぐ“環境異変”。気象庁は8月の大雨について「記録的で異常気象といえるほど珍しい。温暖化の影響もある」との見解を示した。年を追うごとに自然災害は深刻化し、温暖化の影響は目に見える形で現われ始めている。

ヒトスジシマカの分布北限の移動(国立感染症研究所)

ヒトスジシマカの分布北限の移動(国立感染症研究所)

デング熱を媒介する蚊として一躍有名になったヒトスジシマカ。国立感染症研究所によると、1950年の分布の北限は栃木県で東北には生息していなかったが、2000年に山形県で、2010年には青森県でも確認されるようになった。

この他、世界でもエボラ出血熱などの感染症が広がりを見せている。デング熱は人から人への感染はないというが、感染症の広がりは大きな脅威になる。その原因は、ヒトやモノの移動が昔に比べ格段に増えたこと、また、アフリカや東南アジアで森林開発により、もともとウイルスを持っていた野生動物との接触の機会が増えたことなど諸説ある。

中でも脅威なのが、動物などを介して出現する強力な感染症だ。西アフリカで猛威をふるうエボラ出血熱は未だに収束に向かう気配はない。世界へ人が容易に移動できる今、ウイルスがまたたく間に世界に広がる可能性は高い。温暖化により、これまで日本には生息していなかった動物やウイルスの生息範囲が広がっていくことが考えられ、これまでなかった感染症が発生するリスクも高まっている。

スーパー台風、ゲリラ豪雨など異常気象も続発

一方、70人以上の犠牲者を出した広島県の大規模土石流は、短時間に降った大量の雨で地盤が緩んだことによるものだった。一気に濁流が樹木をなぎ倒し、家屋を飲み込み、車が水に浮かぶ光景は、改めて自然の破壊力のすさまじさを見せつけた。

スーパー台風は、世界各地で深刻な被害をもたらしている。

スーパー台風は、世界各地で深刻な被害をもたらしている。

2005年にアメリカで大きな被害をもたらしたハリケーン・カトリーナ以降、世界で甚大な被害をもたらす規模の台風「スーパー台風」が世界各地で甚大な被害をもたらしている。2013年11月、フィリピンを直撃し、1200人以上の死者が出た台風は最大風速が毎秒87.5mに達する「スーパー台風」だった。これは車も風で吹き飛ばす強さというから、もし国内であれば壊滅的な被害をもらすことは想像に難くない。こうした異常気象の原因も温暖化と見られている。

台風を動かすエネルギーは、海面から発生する水蒸気の量が影響する。そのため、水蒸気が豊富な熱帯地方が台風の発生場所になるが、温暖化で海表面の温度が上昇することで強い台風が生まれると言われる。地球環境問題に有効な対策を打たず、温暖化が進めば今後、さらに強い台風が生まれることが予想される。しかし、台風の数も増えるのかというとそうでもないらしい。「地球全体で台風をつくるのに使えるエネルギーが変わらないとすれば、強い台風が増え全体の数は減る」という識者もいる。台風の数は減り、さらに強さを増していくことが予想され、深刻な被害をもたらす土砂災害は今後も全国各地で起きることが心配される。

気温の上昇で農作物の転作も進む

温暖化は農作物にも深刻な問題。各地で転作の取り組みが進んでいる。

温暖化は農作物にも深刻な問題。各地で転作の取り組みが進んでいる。

温暖化の進行が深刻化する一方で、気温が高くなったことで、農作物の転作を進める農家が全国各地で増えている。

リンゴの生産が盛んな青森県では、これまで見られなかった病気が発生したり、高い温度の影響で日焼けや色づきの悪さなど、栽培環境が悪化している。こうした中でモモへの転作が進み、栽培面積は10年前と比較して、モモは1割ほど増え逆にリンゴは1割ほど減った。ミカンの産地・愛媛でもミカンから地中海原産のブラッドオレンジに転作する農家が増加。コメは将来の温暖化しても栽培できるよう、各地の気候条件に併せて品種改良を進めているという。

1997年、日本は温室効果ガス削減の数値目標を定めた京都議定書を採択したものの、2013年以降は離脱。一方、国際舞台でも先進国、発展途上国の対立は続き、温暖化に対して数値目標の設定などで合意は得られていない。温暖化、地球環境問題は日増しに深刻化し、目に見える形の脅威として私たちの目の前に姿を現わしている。

政府は土石流の対策として、全国の危険個所に土石流を堰止める効果があると言われる砂防ダムの建設計画を進めているというが、効果は限定的という見方もある。人類の生存に脅威になっている温暖化、地球環境問題に対して場当たり的な対策で良いのか、抜本的な対策がのぞまれる。

 

石油に依存しない暮らしを目指す草の根・市民活動「トランジション」。見直される「お互い様」という生き方 <地球環境問題 コミュニティーからの挑戦(前編)>

 地域でゆるくつながって、自分ができることをする

芸術の街らしく、町の所々に設置した再生可能エネルギーの充電スタンドは自然なオブジェとして景観に溶け込んでいる。

藤野(神奈川県)では町の所々に再生可能エネルギーの充電スタンドが設置されている。芸術の街らしくオブジェとしてアレンジされ、景観に溶け込んでいる。

石油に依存しない暮らしを目指す草の根の市民活動として2005年にイギリスで誕生した「トランジション(移行・脱依存)」。現在、世界43カ国、1000を超える地域でトランジション・タウンが生まれ、日本でも約50カ所で活動が行われている。「50年後、100年後の未来を考えて行動することは、一人では難しいけれどみんなと一緒ならできるかも」「できることからやってみる」。そんな取り組みやすさが共感を呼び、活動の輪が広がっている。

 

国内の草分け的存在 トランジション藤野

トランジション・タウンは、石油依存や、大量消費の生活から持続可能な生き方にトランジット(移行・脱依存)していこうという思う人たちが集うコミュニティー。その中で「一人ひとりができることをしていくこと」を基本として、同じ志向の仲間が地域の中でゆるくつながり、様々な活動に取り組んでいる。

外部の見学者向けに行われるツアーには、環境問題を学んでいる大学生、仕事に役立てたいという会社員まで様々な立場の人が参加する。

外部の見学者向けに行われるツアーには、環境問題を学んでいる大学生、仕事の役に立てたいという会社員まで様々な立場の人が参加する。

トランジション藤野は2008年、国内におけるトランジットの広がりにパイオニア的な役割を果たした榎本英剛氏が、友人3人と藤野に移住してスタートしたのが始まりで、草分け的な存在だ。神奈川県の藤野は都心から電車で約1時間、同県の水源地・相模湖や、森など豊かな自然が広がる。人口約1万人で、戦時中に疎開画家が移り住んだり、芸術の街として街起こしをされた経緯もあり、芸術家が多く活動するほか、近年は自然志向の高い人が移り住むようになった。

トランジションを仕事のヒントにしようと考える人もいる。藤野に移り住んで半年という野口正明さんは、外資系企業に勤める経営コンサルタントで、今も月に数回、片道2時間以上かけて都内に通勤する会社員だ。トランジションに参加した動機は、「ここでは大雪に見舞われれば、誰彼となく自然に助け合う。こうした個人の自発性こそ、今、企業経営に求められていること。仕事のヒントになると思ったのがきっかけだった」と話す。この他、「トランジション藤野の活動に魅力を感じた」「子どもが学校に入学した」「農業をしたかった」など、参加の理由は人それぞれだ。

地域通貨「萬(よろづ)」は300人が利用

現在、コアメンバーは20人ほど。当初、映画の上映会、保存食づくりなどを単発的に行ってきたが、現在はお百姓クラブ(食の自給自足)、藤野電力(自然エネルギーの自給)、森部(新しい森の文化発信)など活動の幅が広がっている。

地域通貨「萬」で使う通帳。利用者は300人までに増えた。

地域通貨「萬」で使う通帳。利用者は300人までに増えた。

2010年からは現在、利用者が300人に広がっている地域通貨「萬(よろづ)」を始めた。「萬」は、地域内で使える「お金」。例えば、パソコンを教えてあげる代わりに、野菜をもらうといったように、サービスを受けたら、自分のできることでお返しするといった形で使う。藤野地域通貨「よろづ屋」の目安は1萬=1円で、紙幣ではなく「通帳」を介して行われる。メンバー間で通帳と情報(出来ること、して欲しいこと、連絡先など)を共有して、一対一で取引する。何かをしたときはプラスを、してもらったときはマイナスを書き込み、お互いにサインする。取引例は車の送迎、料理を作るなど様々。例えば、ブログで「よろづでヘアカット」という記事を見た人ができる人に連絡を取る。自宅まで来てもらい、小学生の娘、父、母の前髪をカットしてもらい、3000萬と夕食で取引成立といった感じだ。

「よろづ屋」は「0萬」からスタートするので、メンバー同士の萬の合計は必ず「ゼロ」になり、何も行わなければ「ゼロ」のまま。たくさん取引が起こればそれだけ価値が生まれたことになるが、その価値とは単に物やエネルギーだけでなく、人々の間に「絆」が生まれるのもユニークなところだ。

参加する全員に役割がある

地域通貨により、住民のつながりが生まれ、住民に何が求められているか分かるようになった。

住民のつながりが生まれるとともに、住民から何が求められているか分かるのも地域通貨の良さだ。

「お互い様」という関係、「誰も、のけものにしない」というのもトランジションの魅力

「何も自分はできないと思っている人でも、誰かが旅行にでかけるときに、庭の水撒きなどを代行できる。『これはできないけど、これはできる』とやり取りを交わすことで、地域の人のつながりができるとともに、これが欲しいというニーズがあるのが分かってくるし、それなら自分達で作ろうとみんなで協力して取り組むこともできる。地域通貨は人と人がつながって使える、そんなお互いさまのお金です。『マイナスばかりが貯まってしまい、追い目に感じる』という人もいますが、そういう人には誰かがそれだけ役に立ったということで、『いいことをしたんですよ』と言っています」と事務局の担当者は笑う。

地域、そしてそこで暮らす人たちの関係を大事にしながら、それぞれの個性も大事にする。そんなゆるいつながりが、トランジション・タウンの特長だ。「会社と往復するだけの忙しい毎日。このままの生き方でよいのか、自分を見つめ直したかった」など、仕事や、自分の人生やライフスタイルをどう考えるべきかなど、将来へのヒントにしたいという人もいる。

都内でOLをしていた女性は、「冬場、雪がたくさん積もって怖かったが、近所の人が声をかけてくれたので安心した。都内に暮らしていたときは、仕事を中心にして住む場所を決めるという感じだったが、(藤野に来てからは)何を最優先に考えるか選択や判断の基準が変わった」と言う。

「生きるのが楽しくなった」「人の役に立てるのがうれしい」という参加者の言葉は印象的だ。かつて田舎の濃密な人間関係を嫌い、多くの若者が都会へと移り住んでいった。そして、便利な都会暮らしの一方で、流される日々、人間関係が希薄になり、多くの人がこのままでいいのかと疑問を感じている。トランジション活動には、それぞれの人が抱える疑問や悩み、生き方”を見つけるヒントがあるようだ。(ライター 橋本滋)【次回に続く】

環境破壊は、社会の破滅につながる。地球環境問題を真剣に考えよう

地球環境問題が叫ばれて久しい。温暖化により各地で氷が溶け、将来、より頻繁化する異常気象、また、それに伴い、海洋諸国が水面に沈んだり、食糧危機が心配されている。また国内では、福島原発事故以来、今後、原発をどう考えるのか、エネルギー問題にも国民の関心が高まっている。

かつて日本も戦後の復興期を経て、電化製品の三種の神器と言われたテレビ、冷蔵庫、洗濯機は、サラリーマンの憧れだった。国民全体が「より豊かになろう」と活気に溢れた時代であり、それがお金を稼ぐことであり、幸せにつながるはずだった。しかし、現実はどうだろう?

国内では年間3万人もの自殺者がいる。そして、誰にもみとられることなく亡くなる老人の孤独死。その他にも、過労死、リストラ、貧困…便利な商品、欲しくなる魅力的な商品が次々に発売される一方で、毎日のように報道される社会の片隅で忘れ去られた人たち。これが、私たちが懸命に額に汗し、目指す豊かな社会と言えるのだろうか?

海外でも中国の経済発展は深刻な環境被害を引き起こしているように、インド、ブラジルなどの新興国もまた、さらに豊かさを求めるようになり、温暖化、エネルギー、食糧問題はさらに深刻さを増していくだろう。先進国が経済発展を求め、際限なく豊かさを追求する一方で、アマゾンなどでは森林伐採が進み急速に森が失われている。

数年前、国民の幸せを図る指標で、いわゆる経済の豊かさを示すGDPの上位ではないアジアの小国・ブータンが世界一という結果になった。大量生産、大量消費でまわす経済、モノを持てば幸せになる…その幻想は誤りだったことに気がつくべきではないだろうか。

今、世界で関心が持たれる地球環境問題。そして、誰にもとっても切り離すことができない「働くこと」 。この両者が相互に結びあうことで、「思いやりに溢れる優しい社会」「持続可能な社会」に近づくのではないだろうか。