環境ナビ

「環境ナビ」は、地球環境問題のニュースを取り上げます

エネルギー問題

目指すは、福島・会津の豊かな自然エネルギーを起爆剤に地域再生 会津電力社長・佐藤さん <地球環境問題 地域、エネルギーからの変革> 

 

 

会津電力社長の佐藤さんは、地元で220年以上続く酒蔵の9代目でもある。

会津電力社長の佐藤さんは、地元で220年以上続く酒蔵の9代目。

地球環境問題を考える上でエネルギーは重要課題。再生可能エネルギーが注目を集め、世界で広がっている。そんな中で福島県・会津で再生可能エネルギー事業に取り組む会津電力社長の佐藤弥右衛門さんが、シェーナウ環境賞「電力革命児」を受賞した。シェーナウ環境賞はドイツのシェーナウ電力(※)が、再生可能エネルギーの未来に貢献した人に贈る賞で、佐藤さんは受賞を受け、喜びと再生可能エネルギー事業で地域活性化に挑む想いを語った。

※シェーナウ電力

1986年のチェルノブイリ原発事故をきっかけに市民らが中心となり設立。エコなエネルギー供給の実現を目指し、先駆けて既存の電力会社から電力網の買い取りを開始した。現在、ドイツ最大級のエコ電力会社のひとつに数えられる。

――シェーナウ環境賞受賞について

「国内でも地域主導型で再生可能エネルギー事業に取り組む“ご当地エネルギー”が広がっている。私が全国ご当地エネルギー協会の理事であること、また、原発事故が起きた福島という点も考慮されて選ばれたということだろう。“ご当地エネルギー”の活動に携わった人たちに全員に贈られた賞だ」

メガソーラー建設にも着工。将来は再生エネルギーで原発5基分の電気をまかなう計画だ。

メガソーラー建設にも着工。将来は再生エネルギーで原発5基分の電気をまかなう計画だ。

「昨年8月、会津電力を設立して事業を開始した。福島には水力発電をはじめ再生可能エネルギーが豊富にあるのに、『電気が足りない足りない』と言って原発が10機もある。誰のための電気なのかと思うと憤懣(ふんまん)やるかたない。今、地方では再生エネルギーに取り組む動きが広がっており、5年後、10年後には大きな力になっていくだろうし、それが、地球環境問題や高齢化、過疎などの問題解決や、地域の自立にもつながっていく。様々な困難を乗り越え、地域に再生エネルギーを普及させたシェーナウ電力から今回、賞をいただけたことは率直にうれしい。シェーナウ電力を超えられるように努力していきたい」

――220年以上続く酒蔵の9代目

「以前は大量生産、大量販売という流れがあり、低価格化が進んだ結果、品質の低い日本酒も出回ったがおいしくなかったので、結局残らなかった。現在は、地元の米、水にこだわった『郷酒(さとざけ)』が人気で、吟醸酒など高品質な酒が消費者から求められるようになっている。

酒も再生エネルギーで作ろうと自社の蔵の屋根に太陽光パネルを設置した。

酒も再生エネルギーで作ろうと自社の蔵の屋根に太陽光パネルを設置した。

地球環境問題への配慮、そして安全・安心を求める声も大きく、高価にはなるが原材料の品質の良さもいい酒づくりには欠かせない。昔は米を作る際、農薬を使うのが当たり前だったが、今はできるだけ農薬を使わないことが求められる時代だ。無農薬は難しいが、できるだけ農薬を使わない生産者を探し、できないことはできないが、いいものを作るために何ができるを話し合ってきた。ウソをつかないこと、原材料の生産者と酒蔵がお互いに信頼できる関係『顔が見える関係づくり』が大切で、これは電気も同じだ。企業、工場が海外へどんどん移転しているのに、それでも電気が足りないという。いったいどこで電気を使うというのか。これからは使う分だけ、電気を作ればいい。

地球環境問題の観点でどうか、あるいはどういうところで、どのようにして作られたエネルギーなのか、消費者が選ぶ時代だ。水力は水色、バイオマスは緑色、原発は黒色…など、自分が使っているエネルギーが分かるよう、色をつけたら消費者も選ぶ際、分かりやすくていいと思う。また、購入者には地酒をプレゼントしたり、大口のお客様には地元の温泉宿泊券をつけてもいいのではないか。こうした仕組みを作っていくのが私たちの仕事だ」

――福島への想い

「これまで福島には水、食糧があるから安心だと思っていたが、原発事故で思い知ったのがエネルギーの大切さだった。福島で作られたエネルギーは都会に送っていたが、これからは自分たちで使う電気を作ればいいし、水、食糧、エネルギーを自分たちで作れるようになれば地方自治の在り方も変わる。会津電力は10年後、売上1000億円以上を目指している。安くて安全な電気を提供し、地域、産業を活性化していきたいが、『安い電気があるから買ってください』という売り方はしない。『クリーンな電気を使えば、温暖化など地球環境問題の改善にも貢献できるし、企業イメージもアップするはずだ。

福島は水、食糧は豊富だし、エネルギーを自給するのだから、どんどん豊かになっていくだろう。先進的な企業が進出し、雇用も生まれるといったサイクルが生まれていけばいいし、世界を代表するIT企業に福島が選ばれるようになればいい。一方、福島原発は未だに危険で、使用済み核燃料の問題も解決していない状況を見れば、日本の思想として反原発、卒原発に向かうのが当然の流れではないかと思う。『こんなにひどい事故を起こしたのだから、優先して福島の解決に全力を傾けよう』と考えるのが普通ではないか。『人様のために生きなさい』と教えられてきた私からすると(今の政治姿勢は)違和感を覚える」

<地球環境問題、解決の一歩は、脱原発、再生可能エネルギーへの転換>

「エネルギーの自給は地方自治を変える」と語る佐藤さん。

「エネルギーの自給は地方自治を変える」と語る佐藤さん。

佐藤さんは220年以上続く酒蔵・大和川酒造店の9代目。本業は酒蔵の社長だが、昨年8月に会津電力の社長に就任し、二足のわらじを履く。会津電力は太陽光発電所を24カ所設置。5月には1MWのメガソーラー発電所を起工した。今後は山林の整備・保全を進めるとともに、間伐材などを利用したバイオマス発電、東京電力が福島県内に保有する大規模水力発電の所有権を取り戻し、原子力発電5基に相当する電力供給の実現を目指している。

「間もなく会社を設立してから1年になろうとしているが、全国で再生エネルギーに取り組む皆さんと出会えたことなど、楽しいことばかり。これは本業ではけっして味わえない経験でした」と語る。ホンモノの酒造り、再生エネルギーによる地域活性化に取り組む佐藤さんの目標は、福島県全体の電気を東京電力から自立させることだ。「人様のために生きる」がモットー。福島、会津への想いは誰にも負けない。(ライター 橋本滋)

世界で自然エネルギーへのシフトが進む。突出する中国、アメリカ、ドイツ…そして日本は?<地球環境問題 エネルギー編>

地球温暖化、地球環境問題への関心の高まりを背景として、世界で自然エネルギーが急速に拡大している。2013年末の自然エネルギーは世界の総発電量の増加量分のうち56%を占めるまでになり、世界全体のエネルギー消費量の約5分の1に達する見通しになった。一方で、自然エネルギーでリードする国々と日本が引き離されている現状が見えてきた。

世界の自然エネルギー導入量は過去最高水準に達した。

世界の自然エネルギー導入量は過去最高水準に達した。

 世界で自然エネルギー導入が急増

地球環境問題が世界の共通課題として認識される中、とりわけ再生可能エネルギーへの関心は高い。6月4日、米国・ニューヨークで行われた、すべての人のための持続可能エネルギー国連フォーラムで、国連ドイツ政府代表部は「2013年の世界の自然エネルギー発電量は記録的な水準へ急増した」と報告した。REN21(21世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク)がまとめた「自然エネルギー白書2014版」によると、世界の自然エネルギーの発電量は2012年から8.3%増加し、2013年末には1560GW(15億6000万kw)に達した。世界の総発電量のうち増加量分の56%にあたり、世界のエネルギー消費量の約5分の1に達する見通しだ。

自然エネルギー大幅増のけん引役を担ってきたのが新興国。地球環境問題に対する意識の高まりを背景に、普及の支援政策を採用する国が2005年の15カ国から、95カ国と6倍以上に急増。また、都市、州、地域レベルにおいて100%自然エネルギーで供給する体制へ転換する動きが広がる一方、ジブチ共和国、スコットランド、ツバルが2020年までに100%自然エネルギー源からの電力供給を目指している。

自然エネルギーのREN21のアルソロス・ゼルボス議長は、「議論の中心はもはや自然エネルギーがエネルギーサービスを担えるかどうかではなく、自然エネルギー100%を実現するために、導入ペースをどうすれば最大限加速できるのか、という点に変わっている。(実現には)現在の寄せ集めの政策や取り組みを継続させるだけでは不十分だ」と語った。

中国が突出。原発の発電量を上回る

自然エネルギーの内訳は、水力発電が1000GW(10億KW)で3分の1を占め、それ以外は太陽光、風力、バイオマスなどで560GW(5億6000万KW)。2013年の新規導入量は太陽光発電が38GW(3800万KW)で、風力発電の同35GW(3500万GW)を初めて抜いた。2012年、米国の風力発電市場の急速な市場の縮小を受け10GW(1000万KW)減少したものの、欧州などで洋上風力発電1.6GW(160万KW)が進み、記録的な年になった。

自然エネルギー累積の発電設備容量で上位なのは、中国、アメリカ、ブラジル、カナダ、ドイツ。中でも突出するのが中国で、自然エネルギーが爆発的な勢いで伸びており、2013年には原子力発電を上回った。世界全体の太陽光発電の新規導入量では、中国が3分の1を占め日本と米国がそれに続いた。風力発電でも長年、市場をけん引してきたドイツを中国、米国が追い越し、中でも中国はドイツの3倍になり、世界屈指の風力発電大国になった。温暖化、地球環境問題に消極的という印象がある中国、アメリカだが、すでに再生可能エネルギーの分野で日本より上位にいる。

ドイツの電気代が高い本当の理由

一方、日本は太陽光発電が大きく伸びたものの、人口当たりで見た太陽光の発電量はドイツに遠く及ばない。風力発電でスウェーデンと比較すると導入状況で3分の2程度に過ぎず、人口あたりで比べると20倍以上の開きがある。ドイツでは電力の取引料金は今後、劇的に低下する見通しで、風力発電では1KWHあたり4セントの国や地域も出てきているという。そこでよく耳にするのは、「ドイツの電気料金は年々、値上がりしている」という指摘だ。

ドイツの家庭用電気料金の推移(出展:富士通総研梶山恵司氏のレポートより)

ドイツの家庭用電気料金の推移(出展:富士通総研梶山恵司氏のレポートより)

ドイツの電気料金は2000年以降、右肩上がりで上昇しているが、それは自然エネルギーそのものが高いということではない。ドイツの電気代を高額にしているのは、再生可能エネルギーの買取負担だけでなく、付加価値税、自治体税、付加価値税などの税金が加わっているためだ。電気代を比較するとドイツの1KWHあたり30円(2011年)に対し、東京電力26.7円(2012年8月)となりドイツの方が高いように見えるが、税抜きで見るとドイツ20.6円、東京電力25.1円となり逆転する。

風力発電においては、現在では日本の電気代はドイツなど比べ、約3倍(太陽光発電の場合ドイツ、風力の場合スウェーデンとの比較)。しかも、核廃棄物の処理負担、損害保険の価格は反映されていないため、今後、日本の電気代は上昇していく可能性が高い。固定価格買取制度(FIT)により再生可能エネルギーを高値で買い取るようになり、住宅用太陽光の発電コストも直近2年で33.4円~38.3円から29.8円と下がる傾向にあるものの、日本の再生エネルギーは国際的に見て高くコスト削減が課題だ。

家庭用電気代の日独比較(出展:富士通総研梶山恵司氏のレポートより)

家庭用電気代の日独比較(出展:富士通総研梶山恵司氏のレポートより)

日本は自然エネルギーを活かせば資源大国になれる

地球環境問題への配慮、自然エネルギーの価格下落もあって、自然エネルギーへのシフトが世界的に進んでいる。また、2022年までに原発廃止を決めたドイツをはじめ、米国では2013年、5基の原発が運転停止、9基の新規原発の建設計画が中止になるなど脱原発が進む。

日本はというと、政府はエネルギー基本計画で自然エネルギーの数字目標を設定せず、順次原発再稼働を進める方針だが、世界を見れば原発推進の立場をとる少数派だ。電力会社が連携可能量という上限を設け受入れを制限していることが、国内の自然エネルギーの普及が進まない一因となっており、電力系統への接続の改善をはじめ、自然エネルギーの目標数値設定、規制の撤廃、電力価格の引き下げなど課題は多い。

再生可能エネルギーの普及は、地球環境問題にも有効

元スウェーデンのエネルギー庁長官で自然エネルギー財団のトーマス・コーベリエル理事長は、「これまで日本は資源がないと化石燃料や原発に頼ってきたが、地域エネルギー資源を有効利用すれば、資源豊かな国になれる。これまでEU諸国が経験した数々の失敗から学べるのも日本にとって有利な点」と話す。ドイツの取り組みや自然エネルギーについて「天候に左右されるので不安定」といった指摘もあるが、EUでは相互に電力を融通し合う仕組みがあって電力の供給状況がチェックされるとともに、電力が供給できなかったときの取り決めも供給者とユーザーの間できちんと決まっており、問題なく機能しているという。また、ドイツでは高い電気代を避け、隣国に企業が移っているとの指摘があることについて、同氏は「自然エネルギー導入の初期段階にそうした事例もあったが、最近は聞かない」と語る。

温暖化や地球環境問題においても有効な再生可能エネルギーへのシフトは世界の潮流でもある再生エネルギーで遅れをとっている日本だが、2016年から電気の小売が全面自由化される。コストダウンには発電量の増加が不可欠であり、再生可能エネルギーが普及しやすい環境の整備が期待される。

「自分たちで自分たちの街の電気を作る!」 市民出資で再生可能エネ進める動き広がる<ライフスタイル 地域とお金の流れが変わる> 

地球規模で自然エネルギーへシフトが進む中、市民主導で自然エネルギー導入を目指す動きが各地で活発化。市民から募った出資で風車などを建設してエネルギーを作って売電したり、産業の育成につなげている。新しいヒト、モノ、カネの流れが生まれており、地域活性化の起爆剤としての役割も期待されている。

市民主導で再生可能エネルギーを導入する動きが広がっている。

市民主導で再生可能エネルギーを導入する動きが広がっている。

エネルギーの自給で破綻寸前だった島が再生

映画「パワー・トウ・ザ・ピープル」では、100%の電気の自給を実現したデンマークのサムソ島を取り上げる。15年前、大企業の合併により地元の水産加工工場が移転した結果100人が失業し、経済破綻寸前だった島では、住民たちが出資して風車を建設することにした。そして、発電した電気を自分たちで利用するだけでなく、売電により利益を出すようになり、さらに、ネットワークを構築し隣人にも分配するようになる。地域住民が自然エネルギーを進めるために出資し、発電したエネルギーを地域住民で共有する「分散型エネルギー市場」の誕生だ。サムソ島では、こうした従来の大企業がつくる電気と決別することで、衰退に向かう一方だった地域が、住民主導で自立を目指す新しい一歩を踏み出した。

国内でも「市民風車」などが続々誕生

国内でも市民らが主体となって、自然エネルギーを普及させようという動きが広がる。出資者の募集や運営管理を担ってきた国内の草分け的な存在が、自然エネルギーファンド(東京都中野区/代表取締役・鈴木亨)だ。2001年、国内初となる市民出資による市民風車を北海道(浜頓別町)に設置して以来、東北、北陸、関東に10基を超える市民風車を建設。2005年には、長野県・飯田市で「おひさまエネルギー市民ファンド」を作り、太陽光、バイオマスを資源に、行政や金融機関と協力し地域エネルギー事業をスタートさせた。両ファンド合せて出資金は約40億円、参加者は延べ6000人超にのぼる。4月、都内で石狩(北海道)、会津(福島)、小田原(神奈川)、山口の4つのご当地エネルギー市民ファンドが説明会を行った。これらは自然エネルギーを作りだす設備の建設や運営費用にかかる費用を賄う目的で作られたファンド。目標利回りは2~2.5%で、被災地寄付金付きや酒や野菜など地域の特産品をプレゼントする特典をつけるものもある。自然エネルギー市民ファンドの鈴木氏は、「全国各地で続々と地域主体の再エネ事業が立ち上がり、地域事業への応援も始めている。放射能汚染も地球温暖化も心配しなくても済む、新しいエネルギー社会と豊かな地域社会をつくっていきたい」と語る。

野菜や特産品をプレゼントするファンドもあり。地場産業の育成にも効果が期待されている。

野菜や特産品をプレゼントするファンドもあり。地場産業の育成にも効果が期待されている。

集めた資金で、被災した酒造所が復興

山口で被災した地元の銘酒を作る酒蔵の復旧にあてる寄付付きの「みんなで応援やまぐちソーラーファンド2014」では、出資者に酒や野菜を贈る。2013年7月、集中豪雨により高さ3メートルの濁流が襲い、山口県萩市の澄川酒造場(澄川宣史社長)の自宅、蔵、精米機、酒づくりに必要なタンクは水没、パソコンのデータ、通帳やこれまでの関係資料などもすべて消失する壊滅的な被害を受けた。そんなときに社長の澄川氏を勇気づけたのは全国から駆けつけ、泥だらけになりながら復旧活動を手伝ってくれた杜氏や酒屋の仲間たちだった。今、再建した酒造所の屋根には、「市民エネルギーやまぐち」が運営する太陽光パネルが張られる。同社は地域の有志が出資して設立した非営利の株式会社。利益や配当を目的にせず、発電した電気を売電して得た収益を出資者への配当金にあてる一方、同酒造所の復興資金として寄付にあてる。そして、そのお返しとして澄川氏からは「応援してもらった全国の皆さんに恩返しをするには酒造りしかない」と、丹精込めて仕込んだ吟醸酒を贈る。地域の自然エネルギーの普及に投資されたお金が、産業の復興、育成にも役立ち、Win-Winの関係を構築した事例だ。環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏は「今後は小さな造り酒屋や農家などで電気を作っていくことが、一般的になるかもしれない」と話す。

澄川酒造場が作った吟醸酒。愛好家からも味が良いと評判だ。

澄川酒造場が作った吟醸酒。愛好家からも味が良いと評判だ。

 

エネルギー兼業農家が地域、食を変える!

この日は「エネルギーと農の融合、新しい地域社会づくり」をテーマにトークセッションが行われ、食、農、エネルギー、地域づくりについて意見を交換した。慶応大学経済学部教授・金子勝氏は、「国内農業の大規模化が進められようとしているが、海外の農業大国と同じ土俵で競争をしても勝負にならない。日本の農業は安心・安全、環境に配慮した農産物を作ることができるなど有利な面もある。今後の農家は加工、流通販売まで手掛けて6次産業化し、さらにソーラーパネルを導入し、余った電気を売電する『エネルギー兼業農家』を目指すのも方向性のひとつ」。また、千葉商科大学人間社会学部教授・伊藤宏一氏は「江戸時代の日本は、各地域が豊かな文化を持つ輝く多面体だった。地域内で経済を動かす仕組みがあったが、1900年ごろから戦費にあてるため、郵便局を通して地域の金が中央に集められるようになり、戦後は企業に流す仕組みが出来あがった。市民出資により地域に金が流れる仕組みがあれば、再び地方が個性を持つ、輝く多面体の日本になるだろう」と語った。

 特産品、雇用を生み出し、地域の活性化に一役

「自然エネファンドへの投資は、皆でいいことに出資して、いい社会を作っていこうという仕組み。後押ししていこうというムードが金融機関にもある」と大和総研主席研究員・川口真理子氏が話すように、今後、普及が広がる見通しもある。「ファンドという言葉に縁遠さ感じる人は少なくないだろうが、近所の井戸端会議などで『あっちでこういう商品が発売されたけど、(投資するには)いい商品のようですよ』などといった会話が普通に交わされるようになれば、良いお金の流れができ、将来的に自然エネルギーの普及、地域の活性化につながる」(金子氏)。市民による再生可能エネルギー自給の取り組みは、地域の特産品、雇用を生み出し、地域の活性化に一役買っている。高齢化や過疎に悩む地域にとって、起爆剤になる可能性を秘めているといえそうだ。